松本いちか

コメント

1. 鈴木二郎

   2024年5月27日

   「味気無さ｣を売りにした実験作

   女優さんの素体を楽しみ、またかつ無駄なものを削ぎ落とした行為のみピックアップした作品。

   面白い企画ではあるが｢本気度の高い｣感情の起伏はあまり感じられず淡々とした印象は否めない。

   企画自体は共感できるがもっと｢松本いちか｣の魅力を堪能したいし、体現しやすいエロ本の様な卑猥な構図のアングルも、シンプルながらもっと活かせたのではなかったのかなと思えた。

   率直にコンセプトは素晴らしいと思う。

2. プリンス

   2024年5月27日

   THE FIRST TAKE

   全裸の女性が現れる。女学生でも人妻でもなく如何なる属性も持たずこれがそのままの松本いちかなのだろう。裸体に卑猥さはなく裸で生まれてきた人間が裸体でいる自然さだけを感じその姿の美醜は間違いなく美であるのは山や海が美しいのと似ている。しかしお尻をこちらに向けて微笑むこのひとは自然の一部などではなく人の心のさざ波を立てて惑わし魅了するまさに人というものだ。体重でたわみ彼女の動きで陰のできる敷布に彼女の実在を強く感じる。男が彼女の体をまさぐる。挨拶から始まる商業的な関係ながら松本いちかの身体は震える。絶対的に美しくたとえば絵画のようだった肉体が他者と交感する。その卑猥な姿に劣情を誘われる。男の手が胸を覆い秘部に伸ばす手を松本いちかの掌が防ごうとして重なり彼女の体躯の小ささが冒頭で話していた寸法よりもよほど雄弁に明らかにされる。美しい顔のなかに綺麗な舌が仕舞われていて身体から湧き出る唾液で濡らしたそれを男の体に這わすのが淫猥だ。身体を支えるためか緊張している肩甲骨に突き上げた臀部がこれほど美しい必要はあるのだろうかと訝しいほど美しい。無目的な美しさを放出して必要以上に人を魅了しようとする悪魔かもしれないし只管美しい天女なのかもしれない。それだけのものが柔和に優しく悪戯っぽく話しかける。親しみやすさは美しさを損ねず卑猥さは自然のような無垢さを傷つけない。なんて愛らしい女性なのだろうか。柔肌の下に浮かんでは消える肋骨すらも愛おしい。男と繋がる。身体に男の一部が入る造りになっていてこれだけ美しい人がそれを望み悦ぶことに感動する。あの薄い下腹部のなかに男の一部を含めて松本いちかが腰を動かしその感覚を喜ぶ。体位を変えるのは視聴者のために計算された動きかもしれないし自己の快感を探るための動物的な選択なのかもしれない。後者を信じられるほど快感に浸り彼女は無防備になっていく。足指を屈曲させ脇を露出さ無警戒な顔を見せる。男を手玉に取っていた余裕は失われされるがままにされ快感を顔に浮かべる。自身を思うように見せられなくなるまで追い込まれても美しくてかわいい松本いちかの美しさとかわいさがたまらない。松本いちかは計算高く自分を魅力的に見せるのが誰よりもうまい女優だ。しかしそれ以上に他者によるものも自身によるものも含めた全ての作為を超越して美しくさかわいさ愛らしさを自分自身に持った女性なのだと思う。